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エコロジー電車の欺瞞 †
事業者にも優しいエコロジー電車 †
- 安くなる電気代
環境に優しい省エネ電車は、実は鉄道事業者にも優しいのです。少ない電力しか消費しない省エネ電車を導入することで電力会社に支払う電力費を抑えることが出来ますし、自家発電所を少なくすることも出来ます。変電所や送電施設の容量も低いもので済みますから設備投資も少なくて済むのです。
- 電気代だけではない、お得さのヒミツ
従来の鉄道車輌の悩みのタネは車体の腐食でした。塗装が痛むとそこから雨水が浸入し、車体が錆びてしまうのです。そこで従来の鋼製車輌では定期的に塗装を剥がし、腐食した部分をパテで修繕し(酷い場合には腐食部分をバーナーで切除し新たな鉄板を溶接し直す)、その上で錆び止め塗料を塗り、さらにその上に通常の塗装を行なうという手間のかかるメンテナンスを必要としていました。
ところがアルミ/ステンレス車輌では腐食による劣化が殆んど進まないため(厳密に言えばアルミやステンレスは一瞬で錆びますが腐食は進みません)、このような手間が殆んど掛からないのです。さらに、軽量車輌の導入により線路へのダメージも小さくなるので線路保守費用も減りますし、後述するように最新のステンレス車輌は実は価格も安いので、鉄道会社にとっては良いことづくめなのです。
- 企業の環境貢献とは?
鉄道事業者は企業利益を追及するために省エネ電車を導入しているのであって、たまたまそれが環境政策と一致しているからエコロジーなどと宣伝しているに過ぎません。
企業の環境貢献は、事業者自らがどれだけ時間と費用を負担して環境負荷を低減したかを評価すべきであって、鉄道会社の宣伝を真に受けて『たまたま企業利益を追及したら環境負荷が減りました』といった様なものを不合理に高く評価すべきではないでしょう。
アルミ/ステンレス車輌は価格が高い? †
アルミ/ステンレス車輌の導入は企業の善意か?
アルミ/ステンレス車輌は価格が高いというイメージがあります。高価な省エネ電車を導入する鉄道事業者は積極的に環境対策に貢献していると評価する向きもある様ですが、本当でしょうか?
- 昔は高かった軽量車輌
アルミ車輌やステンレス車輌は、昔は確かに高いものでした。そのため本格的に導入したのは一部の私鉄に留まり、旧国鉄では新幹線(200系はアルミ車体)を除き、一部の試作車を導入したに留まっています。1966(昭和41)年からはアルミ車体の301系が量産されましたが、コスト高から56両の製造に留まり、その後の増備は103系1200番代に切り替えられました。1982(昭和57)年からは特殊な事情によりアルミ車体の203系が量産されましたが、旧国鉄が本格的に軽量車輌を導入したのは、1985(昭和60)年にステンレス車体の205系が登場して以降のことです。
- とっても安い走ルンです
JR東日本が209系以降世に送り出しているステンレス軽量車輌は『重量半分・寿命半分・価格半分』を目指して製作されました。走ルンですと呼ばれるこれらの車輌は、重量半分は達成されず、初期車は既に1992年の登場以来14年以上使用されています。
一方で価格の低減はある程度達成されたらしく、JR東日本だけでなく私鉄各社にも瞬く間に普及しました。東急は1999年に目黒線へ自社オリジナルの3000系を登場させましたが、231系は更に3割も安かったと言われており、2003年に目黒線へ導入された5080系は231系がベースとなっています。
- なぜ安くなったのか?
- 製造技術の向上
昔は未知の技術であったアルミ/ステンレス車輌ですが、多くの鉄道会社では既に多くの旧世代車が淘汰され始めており、現在では2代目以降のアルミ/ステンレス車輌が主力となりつつあります。長期間に亘り生産を行なってきたことにより、日本の鉄道工業界にはアルミ/ステンレス車輌の設計・製造に必要な技術が十分に蓄積され、低価格化に貢献しているものと思われます。
- 量産効果
走ルンですは、年間約500両が製造されています。同じ仕様の車輌を大量に生産することにより、コストダウン効果は大きくなっていると思われます。
- 徹底した軽量化による部材の減少
アルミやステンレスは普通鋼より高価格な素材ですが、車体を軽量化することにより使用部材が減少するため、軽量化すればするほど部材費の差は圧縮されます。走ルンですでは103系より3割も構体が軽量化されており、単純に言えば部材費の差が3割以内であれば、アルミ/ステンレス構体は鋼製構体よりも部材費が安くなることになります(これら部材の実際の価格は不明です)。
- 動力装置の低出力化
モーターやVVVF制御装置などの動力装置は、大変高価な部品です。これを少なくすることが出来れば、編成価格を低減することができます。最近の電車ではモーターの一個あたりの出力が増す一方で、以下の理由により編成あたりの出力は低下する傾向にあります。
- 車体の軽量化によるもの
車体が軽量になれば必要となる出力も小さくて済むため、最近のアルミ/ステンレス車輌では電動車比率が低下する傾向にあります。
- 所用出力の見直しによるもの
従来の旧国鉄型車輌では、ダイヤを維持するために電動車1ユニット(モーター8個)が故障して使用出来ない場合でも十分に加速できる性能が求められており、余裕のある組成となっていました。しかし最近では、そこまで余裕は必要無いだろうという前提で編成が組まれています。
これは構体の軽量化とは直接の関係はありませんが、JR東日本では『重量半分・価格半分』を達成するため、走ルンですを導入するにあたりステンレス軽量構体化と合わせて所用出力の見直しが行われ、電動車比率が低下しました。
一方でこれは卓上の理論で決められたもので、スペックダウン(性能低下)により現場では苦労しているといった話もあるようです。
- 車輌寿命の短期間化
走ルンですは『重量半分・寿命半分・価格半分』のとおり、従来の半分の寿命があれば良いという前提で設計されています。その分、構体だけでなく部品までも徹底的に軽量化されています。
- 狂った?生産計画
寿命半分ということは、車輌生産量を2倍にしなければいけないということです。走ルンですは年間約500両が製造されていますが、全然必要数には追いついていません。
2006年現在、209系初期車は既に1992年の登場以来14年以上使用されていますが、まだまだ従来の113系や415系は大量に残っており、それを置き換えても今度は205系や211系が待っています。当面209系の置換えは出来そうにありません。初めからまともな生産計画があったのか、疑いたくもなります。JR東日本は最近、『寿命半分などとは言っていない、誤解だ』などという弁明を始めているようです。
- 車輌の粗悪化による軽量化
走ルンですは故障が多いと労働組合は主張しています。労働組合の主張を鵜呑みには出来ませんが、当管理人が素人目に見ても『安普請』という評価は妥当という気はします。
・国労 保全科分会/E231系故障対策
http://www.geocities.jp/motomae02/kosyou/231_ko.html
軽量車体と非軽量車体、どっちが安全? †
弱い車体のほうが安全? †
硬い車体で死亡率が上がるのか?
『ボルボの事故で車体に損傷がなくとも運転手が死ぬケースがある、車体を強化しても衝撃で死ぬから車体は柔らかい方が良い』といった様な意見があるようですが、どのような根拠(統計)があるのか不明です。いなほ脱線事故では1両目にも生存者の方がいた様ですし、『硬い車体の方が死亡率が上がる』とする根拠は現在のところ薄いと思われます。当サイト管理人は下記のとおり、車体を強化すべきと考えております。
- クラッシャブルゾーンは生存空間を守るためにある
最近の自動車では車体の一部が破壊されやすくなっており、衝撃を吸収する構造となっています。この区画をクラッシャブルゾーンと呼びます。これを設けることにより、強化されたキャビン構造に大きな衝撃が伝わることを防ぎ、生存空間を守ります。
つまり、自動車では潰れやすい構造と潰れにくい構造が組み合わされ、『潰れやすい構造(クラッシャブルゾーン)』が『潰れにくい構造(生存空間)』を守っているのです。
・本田技研工業/Technology/Automobile/G-CON
http://www.honda.co.jp/tech/auto/safety/g-con2/index.html
- 生存空間が潰れては意味がない
自動車でも、キャビン構造は堅牢に作られています。いくら衝撃を吸収しようが、人が乗るスペースが潰れては何の意味もありません。鉄道車輌では最低限、乗客が乗るスペースは堅牢な生存空間であるべきです。
| 左画像/衝突試験で生存空間が潰れた『陸風』【拡大】 |
引用元/ドイツ自動車連盟(ADAC) |
陸風(Landwind)は江陵汽車(中国)製の四輪駆動車である。2005年にADACが衝突試験を行なった結果、キャビン構造が破壊されてしまい、『星ゼロ』という最低の安全性評価を受けた。星ゼロ評価は20年に亘るADAC史上初。生存空間が破壊され易い車が安全と評価されることはない。 |
▼ドイツ自動車連盟(ADAC)・陸風の試験結果公表ページ |
LINK ADAC/Tests/Crash-Tests/Jiangling Landwind ※衝突テスト動画有り |
- 自動車でも側面衝突は強度重視
自動車でも側面にクラッシャブルゾーンを設けることは困難なため、キャビン構造を強化することで側面衝突に対処しています。一部では側面に衝撃を受けた際に構造の変形をコントロールし、ボディ全体に衝撃を分散させる構造のものもある様ですが、これとて生存空間を守るための設計です。『生存空間を潰してでも衝撃を緩和する』ためのものではありまません。
・メルセデス・ベンツ オフィシャルサイト/セーフティ/ボディ
http://www.mercedes-benz.co.jp/brand/safety/body.html
- クラッシャブルゾーンは人体への衝撃吸収が目的とは限らない
走ルンですの近郊型やJR北海道の731系/キハ201系では、乗務員防護対策として乗務員扉付近のスペースをクラッシャブルゾーンとしています。この部分を潰れやすくすることで運転士が車輌前面と客室仕切壁の間に挟まれることを防ごうという考え方で、通常このスペースに人はいませんから、なかなか良く考えられた方法です。しかし、運転士席の後方がクラッシャブルゾーンになる訳ですから、運転士への衝撃が緩和される訳ではありません。つまり運転士にとっては、これは生存空間を守るためだけのクラッシャブルゾーンなのです(副次的効果として乗客への衝撃が緩和されることが若干期待できます)。
| 左図/E231近郊型の衝撃吸収構造【拡大】 |
引用元/JR東日本テクニカルレビューNo.3 |
運転士席後方、乗務員扉付近はクラッシャブルゾーンとなっているが、この部分のスペースは運転士への衝撃力緩和には貢献しない。生存空間を守ることに主眼が置かれた設計である(最前部の前面構造を除く。) |
▼レビューNo.3/論文-3/衝突シミュレーションを活用した車両の安全確保対策に関する研究 |
http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_3/35-40.pdf |
- 衝撃吸収と生存空間、どちらを取るか?
考えるまでもありません、生存空間です。もちろん、両方が備わっているのが理想ですが、どちらか選ぶのであれば生存空間を選ぶしかありません。いくら衝撃が減ろうが、車体が破壊されて乗客が構体に押し潰されたのでは意味がないのです。
- 鋼製車体も軽量車体も安全性は同じ?
いなほ脱線事故の車体の破損状況を指して、『尼崎事故と変わらない』とする意見があるようです。しかし、いなほでは衝突部分こそ車体が大きく曲がっていますが、それ以外の部分では車体は元の断面を保っています。
一方、尼崎事故の事故列車2両目は、マンションとの衝突部分が折れ曲がっているだけではなく、全長にわたって車体断面が変形してしまっています。双方の事故を直接に比較することが適当かどうかは分かりませんが、少なくとも私には いなほの方が損傷が軽く見受けられます。
所詮は卓上の議論、実験して比較すべし!! †
- 何処かに比較データがあるのか?
車体強度、特に側面衝突について色々と議論があるようですが、どうも具体的なデータに基いた議論をしているとは思えません(当サイトもそうですが)。鉄道関係者(研究者・評論家など)の中にも側面衝突については車体強化ではなく脱線防止強化で対処すべしとする主張がある様ですが、現在の車体強度を把握した上での議論といったものは見当たりません。
- データがなければ実験すべし
巷の議論は所詮卓上の議論です、データがなければ実験して検証するしかありません。
- 年間5両提供しても1パーセント
走ルンですは年間約500両が製造されています。そのうち1%、つまり5両だけでも衝突実験に供するならば多くのデータが得られます(台車や電装品も不要ですから更に負担は小さくなります)。JR東日本は走ルンです導入で多大の利益を上げている訳ですから、車輌に自信があるならこの程度の社会貢献はして欲しいところです。
車体強化への道 †
譲れないもの †
車体弱化は認められない †
- 現在の技術では全ての事故から乗客を守ることは出来ません。かといって、企業利益の為に安全性の低下を受け入れることは愚の骨頂です。では何を基準にすればいいのか?
一つの確かな基準は、以前の車両よりも衝突安全性が低化することは認めてはならないということです。これを認めてしまえば、テクノロジーの進展も安全性の向上も否定することになります。
環境よりも人命を †
- 企業利益の追及も環境負荷の低減も、最低限従来の車体強度を確保した上で行われるべきです。
『この新型自動車は車体強度が下がっていますが、その分地球に優しくなっております。』と言ったところで誰がそんな自動車を買うのでしょうか? 鉄道会社はそのようなサービスを、路線利用者に押し売りしているのです。
環境負荷低減と対衝撃性向上を両立した自動車業界 †
かつては危険だった国内販売自動車 †
- 国産車が危険、ではないところが問題
日本車は多数が海外へ輸出されています。欧米では古くから自動車の安全性について厳しい目が向けられてきました。日本製だからと言って甘い目で見てくれる訳ではありません、その地で走る日本車は当地の厳しい審査を受け、そうして日本車メーカーは世界基準の安全技術を身に付けてゆきました。しかしその技術は、何故か日本を走る日本車には適用されなかったのです。
- なぜ外す?サイドインパクトビーム
1980年代後半、日本国内で販売されている日本車にサイドインパクトビームが装備されていないことが問題となりました。サイドインパクトビームとはサイドドア内部に配される部材で、側面衝突から乗員を守る重要な部材です。同じ車種でも輸出車には設置されていながら、国内向けには設置されていないものが販売されていました。
- サイドインパクトビームを外すメリット
サイドインパクトビームを設置しないことによりコストダウンできますし、重量軽減により燃費が向上します。日本車メーカーは他車より安く、他車より燃費が良いことをユーザーに宣伝するためにサイドインパクトビームを設置しませんでした。カタログスペックには勿論、安全性の比較など載っていない時代のことです。
- 国内ユーザー軽視との批判、そして比較実験へ
日本車メーカーは『国内ユーザーは燃費のいい車を求めている』と反論しましたが、そもそも国内ユーザーはサイドインパクトビームが無いことの危険性を周知されていませんでした。また、テレビの討論会では『事故の際にサイドインパクトビームが車内に突き出て却って危険となることもある』などと奇妙な反論を行なうような有様でした。(これを聞いていた当管理人は、『じゃあどうして輸出車には付けてるんだ?』と思わずにはいられませんでした。)
国内販売車への不振は次第に高まり、やがて日本独自に比較衝撃実験を行おうとする機運が高まってゆきました。
衝撃試験の結果公表で安全性は劇的に向上 †
下図/道路交通事故による交通事故発生件数、死傷者数及び死者数の推移 【拡大】 |
| 引用元 (画像・データ共)/内閣府HP |
※死者数は24時間以内に死亡した数 |
年度 | 事故件数 | 死傷者数 | 死者数 |
平16 | 952,191 | 1,190,478 | 7,358 |
平13 | 947,169 | 1,189,702 | 8,747 |
平10 | 803,878 | 999,886 | 9,211 |
平7 | 761,789 | 933,356 | 10,679 |
平4 | 695,345 | 855,454 | 11,451 |
平元 | 661,363 | 825,918 | 11,086 |
昭61 | 579,190 | 721,647 | 9,317 |
▼内閣府HP/政策統括官/交通安全対策/交通安全白書/平成17年版/1編1部1章1節 |
http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h17kou_haku/genkyou/01010101.html |
【関連データ】 |
全国市区町村別交通事故死者数(平成16年)/(財)交通事故総合分析センター |
http://www.itarda.or.jp/info58/info58.pdf (PDF) |
燃費向上と安全性、ユーザーはともに重視している †
鉄道では環境と衝突安全性は両立し得ないのか? †
ステンレス車輌イコール軽量車輌、なのか? †
車体強化を阻むもの †
殺しても儲かる方程式 †
企業利益とリベラル派の理想との厄介な一致 †
リベラルを直訳すると自由主義的・自由主義者などとなりますが、ここでは企業利益や保守政党に対抗する、環境政策を推進する革新政党や市民勢力などを指します。
車輌を選べない乗客 †
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