ATS-B形の概要
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ATS-B形はATS(自動列車停止装置)の一種であり、また初期形ATSの一種である。旧国鉄がB型車内警報装置をもとに開発し、首都圏および大阪の国電区間に設置した。軌道回路方式による情報伝達機能があり、これにより極めて限定的ながら速度照査機能があった。国鉄、JR東日本JR西日本が運用したが、1990年代初頭に全て淘汰され、現在は運用されていないとされている。

 

ATS-B形の速度照査機能

ATS-B形の信号速照機能

ATS-B形は軌道回路方式であり、軌道回路を用いて信号機に対する速度照査が可能である。以下にATS-B形の信号速照の機能と仕組について記載するが、推定部分が多い点に留意のこと。

  • 注意現示 (黄信号)
    注意現示の際には軌道回路の信号電流を1秒停止させることにより、注意現示速度(45km/hないし55km/h程度)の速度制限となる。列車が注意現示速度を超過するとブレーキが動作する。ただし、注意現示が進行現示(青信号)等に上がり、それが視認出来た際には確認ボタンを押すことにより注意現示速度以上で走行することができる。
  • 停止現示 (赤信号)
    停止現示の際には、前閉塞区間の速度制限により列車が注意現示速度以下で進行中のところ、停止信号機の約125m手前のB点に列車が到達すると信号電流を停止(無通電)させる。これにより警報が鳴り、15km/hの速度制限となる。信号電流は5秒で復帰、それまでに確認ボタンを押さないと非常ブレーキが動作する。また列車が15km/hを超過すると非常ブレーキが動作する。列車のB点到達は軌道回路の電流値を測定し検出する。
  • 問題点
    ATS-B形は列車位置の検出を軌道回路の電流値で測定しており、検出精度の安定性に問題があった。これにより信号機直下即時停止機能の付加が困難であった。線区によってはATS-S形の地上子を信号機直下に置いたが、この場合は車輌側にATS-B形ATS-S形の双方の装置を搭載する必要があった。
  • 備考
    車上装置は1秒の無通電で注意現示速度(45km/hないし55km/h程度)、3秒以上無通電であると停止現示(ATS-B形では照査速度15km/h)であると判断する。
  • 非常ブレーキの動作について
    非常ブレーキの動作については情報が錯綜しており、判然としない。例えば無通電の際に確認ボタンを押す場合、非常ブレーキが動作するという説と動作しないという説がある(1972年の船橋駅追突事故では信号停電時に進行、追突している)。
    確認ボタンとは別に解除ボタンがあり、速度照査機能ではなくATS-B形そのものを簡単に強制解除出来るとする説もある。警報が鳴った後に列車が進行し停止現示を冒進した事例について、それが確認操作とATS解除操作のどちらを行ったことにより発生したものなのか見極める必要がある。
 

ATS-B形の淘汰

軌道回路の電流値測定による列車位置検出の精度が不安定であったこと、JR化後のATSの改良に際し即時停止機能を付加することとなったがATS-B形では改良が困難なこと、更に東中野駅追突事故(ATS-B形線区)が発生したことによりATS-P形の導入拡大が決定され、ATS-B形は1990年代初頭に全て淘汰されたとされている。
なお、ATS-B形が設置されていた線区には全て、全線P型ATS-P形が設置された。JR西日本が早期(平成2年)に全線P型ATS-P形を導入したのは、ATS-B形を淘汰する必要に迫られたためである。

my_ats-b_201a.jpgmy_ats-b_201b.jpg201系の車体標記
中央本線(快速線)の201系には未だB形の表記があり、或いは現在も車上装置を搭載しているかも知れない。
2006.10.27 (東京駅にて)
 

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Last-modified: 2006-10-28 (土) (6389d)