ATS-Pには幾つかのタイプがありますが、ここで記述するのはその中の一つのATS-Ps形です。P型ATSの総合的な事柄についてはATS-Pを、各タイプの呼称についてはATS-P/名称をご参照下さい。
- お知らせ
ATS-Ps形に関する詳しい資料が入手出来ましたが、当面はサイトの更新が出来そうにありません。申し訳ありませんが、当該資料についてはこちらを御参照下さい。(2007.04.30)
ATS-Ps形の概要
ATS-Ps形はATS(自動列車停止装置)の一種であり、またP型ATSの一種である。JR東日本のみが導入しており、現在のところ全て拠点P方式で設置されている。JR東日本の改良形ATS (ATS-Sx型)であるATS-Sn形との互換性に配慮したシステムで、ATS-Ps形設置線区には全てATS-Sn形が併設されている。ATS-Ps形はP型ATSグループの中では最も保安度が低いと見られるが、今後はさらに保安度が低い方法で整備が行なわれる予定である。
- 一部設置方式
設置線区の極く一部の主要駅に設置する方式である。線路終端部に於ける過走防止対策を特に重視して整備されると思われ、すでにATS-P形が設置されている駅も含め23駅への設置予定が公表されている。現在のところ、設置された例は未確認である。
ここではATS-Ps形が有する速度照査機能を記す。速度照査の仕組については速度照査の方式・単変周式を、パターン参照型ATSとしての基本的な速度照査機能についてはATS-Pの速度照査機能を参照のこと。また、ATS-Ps形整備線区には以下の設備の一部しか設置されておらず、これについてはATS-Ps形線区に於ける速度照査の現状を参照のこと。
- 臨時徐行制限箇所に対する速度照査
臨時徐行制限箇所に対して、パターンを用いて速度照査を行なう機能がある。徐行制限速度は25km/hから55km/hまでの間で5km/h刻みで設定出来る(速度照査の方式・単変周式を参照)。
- 最高運転速度に対する速度照査
これの機能については不明である。
ATS-Ps搭載車の汎用性 †
ここではATS-Ps形搭載車が他のATS設置線区に入線できるか否かを考察する。推測が多い点に注意。
- 入線できない可能性
ATS-Ps形搭載車がATS-Ps形モードでATS-ST型線区に入線した場合、曲線や分岐器での速度照査用の108.5kHz地上子がATS-Ps形車上装置に停止パターンを発生させてしまうため、ATS-Ps形車上装置を動作させたままでの入線は不可能と考えられる。ATS-ST型搭載車の車上子が常時103kHzの周波数を発振させて地上子に108.5kHzの周波数を発振させているのに対し、ATS-Ps形搭載車は常時73kHzの周波数を発振させているため、地上子の上を通過しても108.5kHzが発振されない可能性はある。しかしこの場合、ATS-ST型による曲線や分岐器での速度照査は全て無効になるため、保安上の問題があると考えられる。
- 入線できる可能性
マーカ地上子設定?
ATS-Ps形では独自のマーカ地上子により、同じ周波数の地上子に複数以上の役割を持たしていると伝えられている。第2パターン発生用108.5kHz地上子の手前にマーカ地上子を設置する設定となっていれば、ATS-ST型線区入線に際してマーカ地上子が設置されていない108.5kHz地上子を曲線/分岐器速照用地上子と認識し、車上時素方式(車上タイマー方式)での速度照査が可能である。
またこの方式であれば、ATS-Ps形線区に於いてもマーカ地上子無しの108.5kHz地上子を曲線/分岐器速照用地上子として設置することが可能であり、また同時にATS-Ps形搭載車に対しても速照可能である(但しマーカ地上子無しではパターンは発生せず、車上時素方式での速度照査となる)。
第1パターン設定?
ATS-Ps形モードのATS-Ps形搭載車は108.5kHz地上子の信号を受信すると停止パターンを発生させるがこれは第2パターンであり、第1パターンが発生しないと第2パターンを発生しないように車上装置が設定されていれば問題はない。第1パターンは80kHz地上子により発生させるがATS-ST型線区にはこれが無く、第1パターンが発生することはない。
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