ATS-Sx型の概要
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ATS-Sx型ATS(自動列車停止装置)の一種である。ATS-Sx型という特定のタイプのATSが存在するわけではなく、旧国鉄時代のATS-S形をJR各社が改良したものを総称してATS-Sxや改良型ATSと呼称している。当サイトでは ATS-Sx型 と表記する。
(なお、当サイトでは特定のタイプの装置を形、複数のタイプを総称するものを型と表記する。)

ATS-Sx型の導入経緯

旧国鉄を引継いだJR各社は膨大なATS-S形線区を改良する必要に迫られた。ATS-P形という優れたATSが既に登場していたが、長大な線区全てに高価なATS-P形を整備することは見送られ、従来のATS-S形に即時停止機能と60km/h以上での速度照査機能を付加した上で改良型ATSとして使用し続けることとなった。このような経緯があり、JRグループ各社の大半の路線(ATS-P・ATC設置路線以外のほぼ全て)がATS-Sx型路線である。また、ATS-P路線の多くにもATS-Sx型が併設されており、現在でも事実上JRグループの根幹を支える運転保安システムである。
ATS-Sx型は基本的にATS-S形の地上設備および車上装置に設備を付加したもので、従来のATS-S形の機器も問題が無ければ継続使用される。JR各社によって名称は異なるが機能はほぼ同一である。但し、速度照査の方式は地上時素方式と車上時素方式に大きく分かれる。

 

ATS-Sx型の機能

ATS-S形では警報ベル鳴動後に運転士が確認ボタンを押すと非常ブレーキが動作しなかったが、ATS-Sx型では運転士が確認ボタンを押しても、停止現示を冒進(赤信号無視)すると強制的に非常ブレーキを動作させる即時停止機能が与えられた(但しこの機能を有効にするには、信号機直下に信号機に連動するATS地上子を設置する必要がある)。
またATS-S形では列車の速度が60km/h以上では速度照査が出来なかったが、ATS-Sx型では60km/h以上での速度照査が可能となった。ATS-S形の地上時素方式を改良したものと、新たに開発した車上時素方式のものがある。

 

ATS-Sx型の問題点

停止現示冒進を阻止出来ない

  • 未然に防ぐことが出来ないのが現状
    ATS-Sx型では停止現示を冒進(赤信号無視)すると強制的に非常ブレーキが動作するが、停止現示の手前で強制的に列車を停止させる機能が無い。このため、非常ブレーキが動作しても列車は危険域に侵入して停止することとなり、正面衝突・側面衝突・追突を引き起こす可能性を排除出来ない。
    システム上は信号速照を行なうことで停止現示冒進を防止することが出来るが、設備が殆んど設置されていないのが現状である。

130km以上の高速で追突する危険性

  • 閉塞信号機直下に即時停止地上子が設置されていない
    絶対信号機直下には即時停止地上子が設置されているが、閉塞信号機直下には即時停止地上子が殆んど設置されていない。これが設置されても追突事故を完全に防ぐことは出来ないが、追突の確率を低減したり、追突した際の衝撃を低減したりすることが出来る。しかし即時停止地上子が設置されないと追突を防ぐことが全く不可能となり、運転士が正常な操作を行なわない(ロング地上子の警報を受け確認ボタンを押した後にブレーキ操作をしない)際には130km/h以上の高速で前方の列車に追突する危険性がある。
    JR各社ではATCおよび全線P型ATS-P形ATS-PN形路線以外のほぼ全てはATS-Sx型設置線区であることから、JRグループの大半の路線でこの危険性が放置されている。これはシステム上の問題ではなく、JR各社の怠慢に因る。
  • 即時停止地上子を設置しても危険は残る
    さらに、全ての閉塞信号機直下に即時停止地上子を設置したとしても高速で追突する危険性を完全には排除出来ない。停止現示(赤信号)のすぐ先に先行列車が停止している場合には、130km以上の高速で追突する危険性がある。
 

ATS-Sx型の分類

ATS-Sx型は7種類あり、車上時素方式の速度照査機能を持つATS-ST型 (5種類) と、これを持たない地上時素方式のもの (2種類) に分類される。この他に例外的なものとしてATS-Sn´形が存在する。

地上時素方式 (車上時素方式の速度照査機能を持たないもの)

 

車上時素方式 (車上時素方式の速度照査機能を持つATS-ST型)

  • ATS-SS形
    JR四国の改良形ATS、JR東海が開発したATS-ST形をがほぼそのまま導入したもの。
  • ATS-SK形
    JR九州の改良形ATS、JR東海が開発したATS-ST形をがほぼそのまま導入したもの。
  • ATS-SF形
    JR貨物の改良形ATS。当初はATS-S形そのものであったが、その後ATS-Sx型の機能が加えられ、さらにATS-ST形の機能が追加された。
 

例外的なもの

 

ATS-Sx型 概略図

C型車内警報装置 
 ┗S型車内警報装置
   ┗ATS-S形 (初期型ATS)
      ┃
 ─ 以下、全てATS-Sx型 (改良型ATS)  ──────────
      ┃
      ┗ ATS-Sn形 
      │   ┃│┗ ATS-SN形
      │   ┃│
      │   ┃└─── ATS-Sn´形 (ATS-ST型)
      │   ┃    ┌──┘
      │   ┃    │
      │   ┗ ATS-ST形      (ATS-ST型)
      │   │   ┣ ATS-SW形 (ATS-ST型)
      │   │   ┣ ATS-SS形  (ATS-ST型)
      │   │   ┗ ATS-SK形  (ATS-ST型)
      │   │   │
      └────── ATS-SF形 (初期/Sx/ST型)

 

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Last-modified: 2006-09-02 (土) (6445d)